フラワー&ハンドメイド作品の値段の決め方は?原価の○倍でいいの?

通信講座の受講生さんから寄せられた質問です↓
販売するにあたって、販売価格は原価からどれくらい載せていいのでしょうか?
友達に頼まれても申し訳なくてほぼ材料費しかいただけません・・
手作り品を販売している方には多いお悩みですよね。
もちろんご本人が納得しているのであれば、いくらで販売してもOKなのですが・・ 現状に満足できていない場合は、一度立ち止まって自分の作品の販売価格について考えた方が良いかもしれません。
安くし過ぎれば利益が出ないどころか赤字経営になってしまい、ブラック企業顔負けの過重労働・・ しかし高過ぎればお客様が買えません。
売上が立たなければ収入はゼロ。
材料費はマイナスで在庫が残ります。
どちらにしろ仕事として長く続けることはできないということです。
それに対して、お客様に喜ばれながら、適切な対価を得られれば、ハンドメイドの仕事が楽しく続けられるということになります (*´꒳`*) 。
このページでは、 手作り作品を個人で制作、販売する際の、販売価格の考え方 についてお伝えしていきます。
これから作品販売をやってみたい方、 すでに販売しているけれど値段を見直していきたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ハンドメイド作品の値段の決め方は原価の何倍?
一般に、ハンドメイド品の販売価格の目安は原価の2〜4倍と言われています。
積み上げ式の計算方法になりますね。 ここでいう原価というのは、材料費だけでなく、人件費(自分も含む)+経費も含めた金額のこと。
以下のようなものが「原価」になります。
- 材料費
- デザインや試作、制作にかかった時間分の時給
- 材料調達にかかった時給や交通費や送料
- ラッピング、梱包資材代
- 作業場所の家賃、光熱費、協会年会費などの一部
- イベントなどの場合は出店料や前準備、当日&搬入出時の人件費(自分も含む)
- 販売手数料やサーバー代、通信費など
- その他、作品作りにかかった全ての費用
一個あたりの金額は出しづらいものも多いのですが・・
意外なところで思わぬ出費がかさんでいることもあります。
日頃「なんとなく」でやっている方は、一度きちんと原価を計算してみましょう!
ただし、このような考え方は平均値のようなもの。
全てのハンドメイド、作品販売に当てはまるわけではありません。
「適当に値段をつける」よりはずっと良いのですが、徐々に自分のワークスタイルに合わせて調整していく必要があります。
どうして調整の必要があるのかというと・・
原価×○倍という計算式では決められない!
例えば、私が作っているインテリアフラワーアレンジの場合、原価×○倍という計算式の値段で販売することはできません。
なぜかというと、作品によって、材料費も作業時間も経費も大幅に変動するからです。
原価×2〜4倍の計算式に当てはめてみると、法外な金額になってしまうことも少なくありません・・。
例えば試作~制作にかける時間でいうと・・
ひらめきであっという間に完成しちゃうものもあれば、試作に丸3日かけてもなかなか思うような作品ができなかった!没!ということもあります。
暫く寝かせてから、もう一度チャレンジ!結局1か月後に完成というパターンも。
丸一日材料探しに費やすこともありますし、仕入れ先も多岐にわたっています。
あっちでこれを頼んで、ここではこれとあれを頼んで・・と、それぞれ発注、決済処理、検品をして分類、片付け・・
となるので作業が分散して時間的にもコスト的にも非効率^^;
・・ハイ、分かってるんです・・要領が悪いって・・
同じようなものを量産するとか、仕入れ先を絞り込むとか、手間のかからない作品を作るとか・・方法はいろいろありますよね(−_−;)
でも、それができない・・「自分のこだわり」のようなものがあって、効率やコスパさえ良ければいい、というものでもない・・
このような感じなので、一つ一つの明確な作業時間が割り出せないんですね・・。
ネットショップの場合にはこの他にも撮影や画像加工、サイトの管理、商品登録、メールのやりとりや配送の手配など膨大な作業時間になり、単純に材料費だけではないんですよね。
ただ、これは好きでやっていることだったり、自分のこだわりでやっている部分も多く、全部が全部原価にする必要がないと割り切っていたりもします。
作り手によってケースバイケース
そう、作品作りや販売方法にどこまで手間やお金がかかるのか、かけるのかは、作り手によってケースバイケースですよね。
材料やデザイン、作成方法は、作家の大切なこだわり部分でもあります。
作り手として譲れる部分と譲れない部分、
そこにかかる時間やコストをちゃんと分かった上で、自分のワークスタイルに合ったバランスを考えていくことが大切です。
じゃぁどうやって販売価格を決めてるの?
少々曖昧で申し訳なく・・自己流でもあるのですが・・
参考までに、私が実践している販売価格の決め方をお伝えしますね。
販売価格を決めるステップ
- 原価の中で、重要なポイントをピックアップ
- 自分ならいくらで買う?
- 相場をチェック
- 周りの人に聞いてみる
- 1〜4をもとに、値段を決める。
- テスト&改善
という手順。
一番大切なのは❻です!
1.原価の中で、重要なポイントをピックアップ
本などに書いてあるように、作品作りにかかった全ての材料、経費や時給を計算してみる!というのも、現状把握のために一度はやったほうがいいと思うのですが、さすがに毎回は大変ですよね。
なので、作品1つずつの原価については、重要なポイントだけ押さえておけばOK!ということとしています。
- 大まかな材料費
器やお花など主要なものを大雑把に計算
ロットで買って余るものなども多少プラスしておく。 - 制作にかかった時間
試作から完成、仕上げまでの大体の時間を把握しておく - ラッピングや梱包にかかる費用と手間を想定しておく
※ガラス製品や大型のもの、壊れやすいものは梱包に非常に気を使いますし、緩衝材などもかなりの量が必要です。作品作りよりも梱包の方が時間かかってるんじゃないの?ということもたまにあります^^;破損のリスクもあります。
材料費が〇円くらいかかって、
試作と制作に○時間、
(どれくらい大変だったか?という感覚値でもOK)
梱包の大変さ=高・・
みたいな感じでざっくりでOKです。
ここでは「モノづくりや販売には、実はお金も時間も結構かかってるんだ!!」と実感することがポイントです。
※もちろん詳細な経費や長期的なお金の出入りを理解しておくことも後々大切ですが、ここでは割愛します^^;
2.自分ならいくらで買うか?
作品を購入してくださるお客様は、きっと私と好みや感覚が似ているはず!との勝手な思い込みで・・
「私ならこの作品がいくらだったら買うかな?」
というのを考えます。
自分でデザインして、材料も厳選して作っているので・・
好みにピッタリな作品を見つけた!
という想定。
自分では作れない、作る時間がない、道具や材料をそろえるのが面倒・・といった状況だった場合に、
いくらだったら買うかな?
いくらだったらちょうどいい値段だと思うかな?
と想像を膨らませます。
ここでは自分の時給や制作の大変さ、原価などは忘れて、パッと見のデザインやサイズから感じるイメージ、色合いなどを見てのインスピレーションを大切にしています。
お洋服やインテリアを買う時のような感覚で、お客さんになりきってシミュレーションしてみましょう。
3.相場をチェック
同じくらいのサイズや作風のものはいくらくらいで売られているのか?を調査してみましょう。
素敵だな、と思うお店や売れているお店=市場のニーズと価格帯、サービスがマッチしているということ。
競争する必要は全くありませんが、判断材料のひとつとしてニーズや相場を知ることも大切です。
4.まわりの人に聞いてみる
友人、同僚、家族など、自分以外の人にも
「これいくらだったら買う?」
とリサーチしてみましょう。
お客様の層に近い人だけでなく、子供や男性など、世代が違う人に訪ねるのも、作品に対してどういった感覚を持っているのか?という勉強になります。
5.「1〜4」をもとに販売価格を決める
判断材料が揃ったところで、価格を決めていきます。
ここは曖昧で申し訳ないのですが・・・人によって違うので、数値化、明確化できない部分。
これまでの経験や自分の直感、収集した情報、目指しているワークスタイルに合わせて、複合的な要素から判断が必要です。
私の場合↓
- 私ならこの値段で買うけど、人気のお店だとこのくらいの値段で買う人が多いみたい・・
- 好みが似てる友達は○円くらいって言ってたな・・
- 知り合いからの依頼だから、通常の販売価格や相場よりもちょっと割引しておこう・・
- これは梱包がものすごく大変だから最低でも○円くらいは載せないと辛い・・
- 意外と簡単にできたから、もうちょっと安くしてもいいな・・
- 作るのめっちゃ大変だったけど、この値段で売っても流石に誰も買わないよーー!思い切って下げよう・・
・・といった感じです。
こんな感じで柔軟に考えていけば、赤字になるような値段を付けたり、法外な値段を付けて反感を買ってしまったり・・ということも避けられるのではないでしょうか。
商品の価値に対して高いと思うか安いと思うか、ちょうど良いと思うか、の対価交換です。
自分の頭の中だけで「大変だったから」とか「まだ知名度もないし・・」「申し訳ないし・・」とか、何となく考えるのではなく、客観的な情報も集めておくことがポイントですね。
大事なのは価値と価格のバランス、「値ごろ感」です。
そして、販売価格を決める上で一番大切なのはコチラ↓
6.実践が一番!テスト&改善の繰り返し

あーでもない、こーでもないと考えているだけでは、何も進みません。
何が正解かは、人それぞれ違うのです!
やってみないと分かりません。
あなたが考えたデザインの、あなただけのピッタリ価格や計算法を、他の誰かに教えてもらうことなんてできないんです。
住んでいる地域も違えば、使いたい材料も違う、客層も違えば、理想の働き方も違う、デザインも違う・・全員全部、違うから、正解は自分で見つけるしかないんです。
早めに価格を決めて、販売してみてから、検証しましょう。
必要な情報を集めて考え抜いたデザインや価格は、その時の自分のベスト判断。
今できることはやったのですから、その価格で出してOKです。
その値段で買うか買わないかはお客様の自由!
人の意思をコントロールすることはできません。
販売してみて、いつまでも売れないということは、高すぎるか、ニーズがないかのどちらかということ。
ニーズがないものだった場合は、たとえ値段を下げても売れないでしょう。
どんなに苦労して作ったものであっても、材料費がどれだけかかっていても、情熱や想いが詰まっていても・・・
残念ながら、「素敵!」「欲しい!」とは思えない作品だったのでしょう。
売れても、売れなくても、ラッキー!
材料を仕入れて、デザインを考えて、試作、制作をして、適切な値段を考えて・・
たくさんの苦労や想いが詰まった作品を購入して頂けた時は、何にも勝る喜びです。
ショップにはお客様からのお礼やご感想をお寄せいただくことも多々あり、本当にこの仕事をしていてよかった!と思える瞬間でもあります。
「価値」を届けて、お客様に喜ばれながら、正当な対価を得られるwin-winの関係。
これはビジネスの原則ですが、言うは易し行うは難し!
きっと最初は失敗ばかりだったり、不安やストレスを抱えたり・・と苦戦します。
でも作品が売れない時は・・・
その作品が売れない理由を学べる大チャンス!
落ち込んでいる場合ではありません。
デザイン?サイズ?価格設定?色合い?販売方法?どこかに改善すべきポイントがあるということ。
無駄に傷つく必要はありません。
失敗ではなくただの成長過程です。
現実は冷静に受け止め、デザインや売り方を改善しましょう。
今後は同じようなものは作らない、という決断もできますし、ダメだと思う点を研究、改善すれば、どんどん素敵な作品になっていくでしょう。
価格面であれば、材料を安く仕入れられないか?作業時間をもう少し減らせないか?
同じ材料やちょっとの差でも、より素敵な作品に見える方法、工夫すべきポイントをたくさん研究してみる!など。
・・もっとやるべきだったこと、やらない方がよかったこと・・
売れない作品もこうしたアイデアの宝庫です。
「売れなかったらどうしよう・・」と、心配していても、迷っていても、悩んでいても何かが変わるわけではありません。
売れる方法、喜んでもらえる方法を考える!
チャレンジしながら勉強、改善していけば、学べることが山のようにあります。
適切な値段をつけられない、心配して進めない、という時こそ、失敗を恐れずにどんどんチャレンジ&改善した方がお得です!
そうしてあなただけの素敵な作品&ピッタリ価格を見つけていきましょう。
まとめ
この記事でお伝えしたことをまとめると、以下の通りです。
- 一般に、ハンドメイド品の販売価格の目安は原価の2〜4倍と言われている。
- 徐々に自分のワークスタイルに合わせて調整していくのがおすすめ。
私の決め方↓
販売価格を決めるステップ
- 原価の中で、重要なポイントをピックアップ
- 自分ならいくらで買う?
- 相場をチェック
- 周りの人に聞いてみる
- 1〜4をもとに、値段を決める。
- テスト&改善←超重要!
- 売れても、売れなくても、ラッキー!
- 恐れずチャレンジしよう!!
というお話でした。
販売価格の付け方にお悩みの方のヒントになれば、幸いです。